気象はカオスで力学的に非線形ということが知られている。気候(平均的な気象)はこのようなシステムなため、明らかにすることは難しい。過去40万年に限っては、地球軌道の様々な要素変化に対応して氷床コアの記録に大きく揺れ動く周期が見られるように、非カオス的な現象を示す。しかし、短期的に大きく変化する現象はカオスとして表現されるのがふさわしい。そのような変化は現在の気候状態では起こっていないように見える。
このように、気候システムは外的要因の状態に応じてカオスと非カオスの間で変化するのであろう。
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フィードバック機構 [編集]
もし何かの要因(例えば太陽輻射の変化)が気候を変化させると、その効果を増幅または減退させるメカニズムがある。これらを正のフィードバック、負のフィードバックと呼ぶ。知られている限り、気候システムはこれらのフィードバックにより安定しているとされ、正のフィードバックが暴走に繋がる結果は今のところ見出されていない[1]。理由の一つは、気温と放出される放射エネルギーの間にある強力な負のフィードバックの存在である。IPCC第3次報告書(第1部会)の第7章ではより詳しくフィードバック機構について議論されている[2]。ただし、下記の永久凍土からのメタン放出現象など分析が不十分な要因もあるため、暴走が起きない可能性もゼロとは言えないとされる[1]。
正のフィードバック効果の例としては、次のようなものがあげられる。
氷 - アルベド・フィードバック
雪に覆われた地域はアルベド(日光の反射率)が高いが、その下の地表面は反対にアルベドが低く、太陽の放射エネルギーを吸収しやすい。地表面部分がわずかに暖まると、雪氷面の融解が進み更に地面が増えるので、より多くの雪を溶かすという繰り返しの現象が起こる[3]。代表的なものとしては北極海の海氷の融解[4]による海水による太陽光吸収量の増大などがあり、近年広く報道されている[5][6]。
永久凍土からのメタン放出
気温上昇によって永久凍土が融け、閉じこめられていた有機物の分解によってメタン(二酸化炭素の20倍の温室効果を有する)が放出されることによって、正のフィードバックに寄与するであろうことが指摘されている。今のところ、こうした極域の陸地は全体ではわずかに炭素の吸収源になるのではないかと見られているが、炭素放出の過程は複雑で、この結論の不確実性は大きい[7][1]。
10万年周期の氷期/間氷期サイクルにおける二酸化炭素の役割
このサイクルは軌道要素によるものとされているが効果としては小さすぎ、二酸化炭素の変化がシグナルを強化していると一般に信じられている。わずかな気温の上昇で二酸化炭素が増加し、温室効果で更に気温が上昇、更に二酸化炭素が増加という繰り返しである[要出典]。
負のフィードバック効果の一つに、大気から二酸化炭素を吸収する地表や海洋や生物圏などの自然の貯蔵庫(二酸化炭素シンク)の存在がある。このレベルのフィードバック効果の存在からは、大気中に排出される二酸化炭素は人類起源のもののみと単純に予想されがちであるが、気温の変化と大気中の二酸化炭素レベルとの関係については説明が難しい。例えば、気温の上昇により土壌の炭素が減少したり、気候の変化が熱帯雨林を減少させる可能性があるため、負とは断定できず、正に働く可能性も考えられている。生物の負のフィードバック作用については生物ポンプ仮説が知られている。
外部因子 [編集]
自然起源の因子 [編集]
過去の気候変動において内部因子が重要な役割を果たしたのと同様、自然起源の外部因子も重要であるのは明らかである。
太陽放射量の変化 [編集]
自然の外的要因でもっとも主なものは太陽活動による放射量の変化であるが、地球に届く太陽放射量は、地理的、時間的に分布に均一ではない。太陽放射量は、太陽周期により短い時間スケール(1年?100年)で変化し、地球軌道の周期的な変化によって100年から1000年のスケールで変化する。さらに長い時間(1億年)で考えると、太陽自体が熱くなっていくという現象が加味される。
天体活動が地球の気候変動に与える要因として他にもいくつかの機構が提案されている。たとえば、赤道準二年周期振動(QBO;quasi-biennial oscillation[8])と太陽活動の関連[9][10][11]や北極振動(AO; arctic oscillation)と太陽活動の関連[12][13][14]などである。月の潮汐力の変化とエルニーニョ、ラニーニャとの関連も指摘されている[15]。これは月の潮汐力が熱塩循環にも影響を与えるためともいわれている[16][17][18]。
二酸化炭素 [編集]
地球の現在の大気は二酸化炭素濃度が370 ppm(0.037%) であるが、過去6億年のほとんどの間、大気中の二酸化炭素濃度は6000から400 ppmの間で変化しており、過去40万年間(産業革命以前)では300ppmより低かった[14](顕生代の大気中の二酸化炭素量と平均気温のグラフ[15]も参照)。 過去の地質時代と比べて、現在の大気中の二酸化炭素は非常に少ない([16])。 6億年前から現在までの地球史のなかで二酸化炭素濃度が400ppm以下なのは、石炭紀と現在の第四紀のみである。